松本佳彦のノート

UC Davisでセミナー

2018年4月14日

Andrew Waldronさんに招いていただき、UC Davis(カリフォルニア大学デイヴィス校)のセミナーで講演をした。今はスタンフォード大学に長期滞在をしているのだけれど、この期間のアメリカでの講演の機会は3回目である(スタンフォード、UC Riverside、そしてこれ)。

4月12日、まずCaltrainでSanta Clara駅まで行き、そこからCapitol Corridorという名前の路線に乗った(「州議事堂の廊下」。州都Sacramento行き)。Santa Clara駅はCapitol Corridorの駅としては「Santa Clara University駅」になる。隣は「Santa Clara Great America駅」で、Great Americaとは何かと思ったが、そういう名前の遊園地らしい。Davisまでは自由席で片道35ドル、事前にオンラインで切符を買っておいた。予定していた別の電車(?)に乗り損なったという大きなスーツケースを持った女の子は(San Jose空港まで飛行機で来たのだろう)ホームの券売機に苦戦しているが、電車が来る直前になって正しい操作に成功する。同じく一緒に乗った初老の女性は車掌に「景色のいいのはどちら側?」と尋ねている。それは重要ですね。

Santa Clara駅
Santa Clara駅
車内の様子
車内の様子
Davis駅
Davis駅

約2時間半でDavis駅に到着する。車窓の景色は、残念ながら特に良くはなく、日本の特急から見る「特に良くはない」景色とあまり変わらなかったように思う。Davisの町はこぢんまりとしていて、立ち並ぶ店はちょっと温かみがある感じで、住み心地が良さそうに見える。

駅近くのカフェでWaldronさん(初対面、でも少なくともこちらは論文ではよく認識していた)と待ち合わせて大学に歩いて行き、それから1時間と少々議論する。呼んでくれたのは、単に、近所にセミナーで話してくれそうな人がいないか探した結果ということらしい。1泊して次の日、午前中また1時間ほど話してから、12:10から13:00まで講演。今回は物理の人も混ざったセミナーということもあり、「CR geometry and ACH-Einstein metrics」というざっくりとしたタイトルで、関係する研究の状況を、より広く知られている共形幾何と比較しながら、細部にこだわらず、ざくざくと紹介してゆく形にした。そういうプランは初めてだったので準備コストは大きめである。

ガンガン質問やコメントを飛ばしてくださる男の人がいる(ほどほどにではなくガンガン)。雰囲気はすごく良くなるし助かるがタイムキープは困難になる。事前にちょっと延ばしてもいいと聞いていたので5分超過まではしたが、その時点で、後は細かな話だし、口頭でささっと述べて終わりにした。個人的には、状況が許すならば、「時間通り終わるが盛り上がらない」より「多少延びるが盛り上がる」のほうがいいに決まっていると思う。だから自分の中ではいいことにしてしまうが、「盛り上がり、かつ時間通り終わる」のほうがもちろんより良いのであって、10分短いつもりで準備し、あっさり進んでしまった場合のために追加の題材を用意しておけばいいだけなんですよね……。ともあれまあまあ楽しんでいただいたと思う。そして質問を大量に発してくださったのは、クライン群の文献でお名前を知っていたMichael Kapovichさんだったことがわかった。

Waldronさん、Kapovichさんと3人で昼食。キャンパスのフードコートの一角にフランス風クレープの店があり、レベルが高かった(つまり、ただクレープであるというのではなく、美味しいと言える味だった)。そしてもう少し議論。一緒に取り組んでみようかという問題が2個できる。Waldronさんが学生と会う用事があるとのことで15:30にお開きになる。帰りの電車は18:10発だったので、細々としたことをやって、カフェでコーヒーを買って駅に向かおうとしたところ、「ビールを飲んでいるから来い」というテキストメッセージが入る。行ってみるとテラス席に大学院生7〜8人?と教員2〜3人?がいた。金曜夕方だしね。20分ほどで1杯飲み、帰路につく。

数理科学棟内に張られていた数学クラブの案内。魂の叫び。
数理科学棟内に張られていた数学クラブの案内。魂の叫び。
コモンルームの本棚。ひっそりと日本語の数学書が置かれている。日本人教員もお2人いるようだったけれど、この本との関係は不明。
コモンルームの本棚。ひっそりと日本語の数学書が置かれている。日本人教員もお2人いるようだったけれど、この本との関係は不明。